厚生労働省は10日、2017年度の賃金不払い残業の是正結果を発表した。それによると、1870企業に対して合計446億円余の割増賃金の支払いを命じた。16年度に比べ、是正数は521企業、支払い額は約319億円と大幅に増えた。対象労働者数も約20万5000人で同11万人近く増え、支払い平均額は1企業あたり2387万円、労働者1人あたり22万円だった。
業種別で多かったのは製造業の412件、商業の372件、保健衛生業の240件、建設業の202件など。ただ、支払い対象者数、支払い額が最も多かったのは運輸業で、それぞれ約7万人、約224億円と、対象者数で全体の34%、金額で50%を占めるダントツの規模。ドライバーに対する未払い残業が日常化していたことが明らかになった。
厚労省は昨年からトラック、バス、タクシーなどのドライバーを使う運輸企業に対する監督指導の強化を各地の労働基準監督署に指示しており、昨年は指導対象になった4381事業所のうち、違法な長時間労働などの労働基準法違反があったのは、トラック配送業を中心に83%にあたる3632事業所に及んだ。
公表企業は労基署が監督指導した企業のうち、支払い額が100万円以上になった企業。