人材サービス産業協議会(JHR、水田正道理事長)は18日、都内で「多様な働き方の実現に向けたマッチングのあり方」をテーマにシンポジウムを開いた=写真上。人材サービス業界で人事戦略や求人広告、採用、人材活用などに携わる責任者らが参加。基調講演やJHRが今年3月に取りまとめた「雇用条件を軸としたマッチング機能の普及に向けた提言」の紹介、パネルディスカッションなどを通して、雇用構造の変化と労働市場の新たな要請に応える人材サービスの役割を探究した。
JHRは国内の主要な民間人材サービス業界5団体が出資・運営している横断的な連携組織。労働市場で起こる課題に取り組み、次世代の労働市場の創造を目的に活動している。5団体は全国求人情報協会(求人広告)、日本人材紹介事業協会(職業紹介)、日本人材派遣協会(人材派遣)、日本生産技能労務協会(製造業派遣・請負)、日本エンジニアリングアウトソーシング協会(無期雇用型エンジニア派遣)。
2012年7月に前身となる「人材サービス産業の近未来を考える会」を経て設立されたJHRは、16年に「業界横断的な政策の立案・実現」と「業界全体の社会的地位・人材力の向上」を活動の柱に置き、これを強力に推進する体制として常設の「労働政策委員会」と「ソーシャル・バリュー推進委員会」を設置。シンポジウムは、推進委員会が中心となって企画した。
基調講演は、東京大学社会科学研究所の玄田有史教授=写真・中=が「多様化の時代~これからの企業と個人と人材サービス」と題して登壇。多面的な角度から「働く」と「人」について掘り下げた。
続いて、JHR理事で推進委員会担当の鈴木孝二氏が「求職者に多様な働き方の選択肢を提供するために」を副題に今春策定したJHR提言のポイントを紹介。多様な働き方を「雇用契約期間」と「就労範囲」の2軸で整理した雇用条件のフレームを示したうえで、雇用契約に対する求職者の認識や就労範囲へのニーズなどの調査結果を説明。「求人企業と求職者の双方に雇用契約に対する理解や認識を高めるよう人材業界がアプローチしていくことで、透明で柔軟な労働市場の創造、正規・非正規問題の解決にもつながっていくと考える」と呼び掛けた。
パネルディスカッションは、「多様な働き方の普及に向けた人材サービスの役割とは」と題して展開=写真・下。学習院大学の今野浩一郎名誉教授を進行役に、登壇した玄田教授と鈴木氏、パーソル総合研究所の櫻井功副社長の3氏をパネラーに、求人企業の課題や改善に向けた人材サービス会社からの提案の重要性に現場感覚で切り込んだ。
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