ホワイトカラーを中心とした民間職業紹介の事業者団体・日本人材紹介事業協会(渡部昭彦会長)は6日、東京都内で2018年度定時総会を開いた=写真・上。任期満了に伴う役員改選では、渡部会長(ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス社長)を再任。副会長には服部啓男氏(ジェイ エイ シー リクルートメント副社長)と藤井太一氏(ACR社長)の再任に加え、新たに小林大三氏(リクルートキャリア社長)を選任して3人体制とした。
総会で渡部会長は、「堅調な景気と構造的な人手不足が連動して人材紹介事業は追い風にあるが、この状況が将来にわたって続くという確約はない」と引き締めたうえで、「労働力人口が減少の一途にある中で国力を維持するのであれば、労働力の参入率を高めることが重要であり、それと生産性向上の『掛け算』で労働市場の面積が広がると考えられる。AIの進展という未知数な部分もあるが、それらの環境変化を前向きにチャンスととらえて、業界の存在価値を高める取り組みに力を合わせていこう」と呼び掛けた。
今年度は、1月施行の改正職業安定法に対応した適正な事業運営を推進するほか、フリーランスなど雇用類似の働き方やテレワーク、副業・兼業といった雇用・労働を取り巻く諸課題について職業紹介事業者として検討を深める。また、「新卒紹介協議会」を新設して本格的な活動を開始する方針だ。
総会の後、東洋大学大学院法学研究科客員教授の鎌田耕一氏が「働き方の多様化と職業紹介事業の展望」と題して特別講演。(1)転職・再就職、(2)雇用類似を含む就業形態、(3)職業仲介のあり方――の3つの方向の多様化に整理して、それぞれの動向と着眼点を解説した。講演を踏まえ、同協会相談室長の岸健二氏を進行役に、鎌田氏、渡部会長、服部副会長、藤井副会長がパネラーとなってディスカッションを展開=写真・下。業界を取り巻くタイムリーな話題や事業者が直面している具体的課題、中期展望などについて、現場感覚の視点で掘り下げた。
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