労働政策研究・研修機構の労働政策フォーラム「仕事と家庭の両立支援のあり方を考える」が29日、都内で開かれた。男性社員の育児休暇の取得が進まない現状について、仕事と家庭、男性と女性の両面から見直すのが目的。
同機構から、池田心豪主任研究員が「女性活躍と男性の家庭生活」と題して基調講演し、飯田恵子主任調査員補佐が欧米など6カ国の現状を報告した。池田氏は主に、夫と妻の就業形態別の世帯アンケート調査に基づき、女性のキャリア継続には男性の働き方と男女の役割の見直しが必要なことを指摘。具体的には、男性の残業日数を週2日以内にして、子供と過ごす時間を増やすことが望ましい、と提言した。
先進企業事例として、日本生命の梶原織梨江・人材開発部輝き推進室長、大成建設の塩入徹弥・管理本部人事部長、SCSKの酒井大介・人事グループ人事企画部長の3人が自社の取り組みを紹介した。
梶原氏は、9割が女性社員という生保の特徴を踏まえ、女性の活躍には男性社員の意識改革が不可欠との認識から、「男性育休取得率100%推進」を掲げ、5年連続で達成した実績を報告。塩入氏は、8割が男性社員の建設会社の中にも優秀な女性がいることから、登用に向けて女性管理職比率を20%に引き上げた経緯を解説。酒井氏は、過重労働が当たり前だったIT企業からの脱却に向けた働き方改革の一環として、有休取得の推進と女性の職場復帰支援を進めた結果、女性ラインが増え、離職率が大幅に下がったことを報告した。
3社の事例を踏まえたパネルディスカッション=写真=では、「100%というわかりやすい目標を掲げると効果がある」(梶原氏)、「セミナーを開いて女性社員の夫にも参加してもらい、妻の仕事ぶりについて理解を深めてもらった」(塩入氏)、「当初は多少強引でも、数値目標を掲げることが重要」(酒井氏)など、具体的なヒントが相次いで披露された。