製造派遣・請負の業界団体、日本生産技能労務協会(JSLA、青木秀登会長)は23日、都内で2018年度定時総会=写真・上=と講演会を開き、働き方改革関連法案の成立などをにらみ、製造系人材サービス業界で働く人のキャリア形成支援と日本のものづくり発展に一層寄与する方針を確認した。
総会で青木会長は「実行と実現を果たす業界団体として前進する。技能協は今年で創立30年を迎えるが、政府の進める『1億総活躍社会』の一端を担える業界として尽力したい」と決意を述べた。新年度の活動の柱に、(1)製造請負・派遣業を適正かつ円滑に運営していくために必要な経営戦略や個別施策を策定するための支援、(2)製造請負・派遣業で働く労働者のキャリア形成に対する具体的支援をはじめとるする人材育成支援、(3)業界検定制度の構築による製造請負・派遣業の人材力強化――の3本柱を掲げた。
具体策として、「ひとづくり・ものづくり・コンプライアンス」のさらなる健全化と適正化に向け、推進委員を配置して厚生労働省委託事業の「製造請負優良適正事業者認定制度」を普及・拡大させていくほか、現場のリーダー・サブリーダーを育成する「リーダー塾」を新たに開講する。また、「キャリアコンサルティング部会」を設立して、会員限定の勉強会や情報交換の場となる交流会を開く。
総会後の講演会=写真・下=では、厚労省職業安定局の牛島聡・需給調整事業課長が「労働者派遣制度をめぐる動向について」、野村総合研究所の上田恵陶奈・上級コンサルタントが「AIと共存する未来の職場~製造系人材サービスがAI時代に備えるために」と題して、それぞれ講演した。
牛島氏は、改正法施行から今秋で3年を迎えるのを前に、派遣労働者の「雇用安定措置」などについて注意事項を詳細に説明したほか、労働局の指導・監督による行政処分件数の推移や特徴などを述べた。上田氏は、AI(人工知能)やロボットが人間に代わる可能性のある職業と難しい職業について、研究成果と私見を交えて解説。宅配・物流業界を例に挙げて、派遣・請負労働者がAIと共存できる方向性を示唆した。