公明党は3日、党厚生労働部会と雇用・労働問題対策本部の合同会議を開き、与党修正を加えた「働き方改革関連法案」(8法案セット)を了承した。しかし、同日開かれた自民党の総務会では「中小企業への配慮が足りない」などとして了承を見送った。政府は6日の閣議決定と法案提出を目指しているが、自民党総務会の合意を得られなかったことで、週明けにずれ込む可能性もある。自民党の厚生労働部会などの合同会議は3月下旬に了承しているが、“最終関門”となる党総務会について「一回でクリアするのは難しい」(厚労省幹部)との声も挙がっていた。党幹部は総務会の定例日(火曜と金曜)以外での開催も検討している。
政府は当初、2月下旬の国会提出を予定していたが、施行期日「先送り」に関する複数回の練り直しや、不適切な労働時間の調査データ問題に端を発した「裁量労働制の対象業務拡大」の全面削除、加えて中小企業対策の項目追加などが相次いだ。このため、与党の法案審査が長引き、提出は政府の想定より既に1カ月半近く遅れている。
法案の柱は、残業時間の罰則付き上限規制、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す成果型の「高度プロフェッショナル制度」(高度プロ)の創設など。自民党内には、政府の方針について「現場の経営者と働く人たちの不安や懸念が分かっていない」「実効性を伴う内容でなければ混乱するだけ」といった意見も根強く、与党修正によって、労働安全衛生法に基づく罰則のない労働時間の把握の義務化や、労働基準監督署の指導の際に中小企業に一定の配慮を付則で定めることなどが決まっている。今回、党総務会はさらなる「中小企業への対応策」を求めた格好だ。
与党の同法案の審査は、自民が政務調査会(政調)と厚生労働部会、人生100年時代戦略本部、雇用問題調査会が「合同会議」を設けて実施。公明は雇用・労働問題対策本部と厚生労働部会が一緒の場を持って議論。厚生労働省の担当職員が政府として法案の概要、内容、修正部分を説明し、出席議員が確認や注文、意見、補強などの“宿題”を出す形で行われてきた。約2カ月にわたった自民党の合同会議では、「唐突で強引な修正提案が目立つ」といった法案審査の進め方に関する指摘もあったが、3月29日に「了承」にこぎ着け、政府は法案提出に向けて党総務会の合意と公明党の了承を待つだけとなっていた。
一方、野党は「高度プロ」の創設に反対姿勢を強めているほか、修正部分についても「抜け穴をつくった」などと批判しており、「働き方改革関連法案」は会期末(6月20日)までの日程感を含め、後半国会の最大の焦点となる模様だ。
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