自民党の厚生労働部会(橋本岳部会長)などの合同会議は29日、残業時間の罰則付き上限規制や、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)などを盛り込んだ「働き方改革関連法案」(8法案セット)を了承した。近く公明党の了承も得たうえで、政府は早ければ4月6日の閣議決定と法案提出を目指す。“重量級”の法案を束ねた与野党対決法案だけに、会期末(6月20日)までの成立は予断を許さない情勢だ。
合同会議は2月7日から本格的な法案審査に入っており、政府は公明を含めて粛々と審査を進めてもらい、2月27日に閣議決定・法案提出に持ち込む予定だった。しかし、その間に施行期日先送りの練り直しや、不適切な労働時間の調査データ問題に端を発した「裁量労働制の対象業務拡大」の全面削除、中小企業対策の項目追加などが相次ぎ、審査は約2カ月におよんだ。
施行期日は、(1)「残業時間の罰則付き上限規制」は大企業が当初案通り19年4月、中小企業だけ20年4月へ。(2)同一労働同一賃金は大企業、中小企業ともに当初案から1年遅らせてそれぞれ20年4月、21年4月へ――となっている。
与党の同法案の審査は、自民が政務調査会(政調)と厚生労働部会、人生100年時代戦略本部、雇用問題調査会が「合同会議」を設けて実施。公明は雇用・労働問題対策本部と厚生労働部会が一緒の場を持って議論。いずれの会議も、厚生労働省の担当職員が政府として法案の概要、内容を説明し、それを踏まえて出席議員が確認や注文、意見、補強などの“宿題”を出す形で行われていた。
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