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2018年3月15日

無期転換ルールに先進事例4社の対応  JILPT労政フォーラムで取り組み披露

 労働政策研究・研修機構(JILPT)の労働政策フォーラム「改正労働契約法と処遇改善」が15日、都内で開かれ、主に2012年改正の「無期転換ルール」に関連して、先進企業の取り組み事例が紹介された=写真

n180315.jpg この日はJ.フロントリテイリングの忠津剛光執行役▽千葉興業銀行の井上宏人人事部長代理▽竹内製作所の山本覚総務部人事課長▽クレディセゾンの松本憲太郎戦略人事部長の4人が、各社の無期転換制度への取り組みや正社員登用の制度改革などについて説明した。

 J.フロントは、構造不況にある大丸、松坂屋の両百貨店事業から事業モデルの転換を図るため、職務性を基本にした従来の人事制度から職能性を中心にした制度に変更し、「パートナー」と呼ぶ契約社員にエリア限定正社員への登用制度を設けた。千葉興銀は、正社員対パートの二項対立的な制度ではモチベーションが高まらないとして、無期転換制度を創設した。

 ミニショベル開発などで知られる竹内製作所は、非正規の定着率が悪かったため、正社員登用試験を実施し、定着率を劇的に改善させた。クレディセゾンは、カードビジネスからの脱却を目指し、非正規も含めた3つの雇用区分を撤廃して全員を正社員にすると同時に、年間労働時間の短縮を図っている。

 パネルディスカッションでは、濱口桂一郎同機構研究所長が司会を務め、各社の改革の課題などを聞いた。「経営ボードとの話し合いと認識の共有が大切」(忠津氏)、「有用なパート女性にスポットを当てないと、従来の正社員主義では限界」(井上氏)、「幹部の中には人件費増への懸念もあったが、定着率が低いときは教育研修費も掛かるなど、総合的な判断で理解を得た」(山本氏)、「他社にないことをやろうというチャレンジ精神が経営陣にも社員にもあった」(松本氏)など、独自の取り組みが奏功した形だ。

 各社の取り組みは、法改正によってやむを得ず改革したのではなく、リストラ(事業の再構築)の必要や人材の掘り起こしなどを通じて生産性を上げようという積極的な理由が共通点となっている。

 

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