裁量労働制を拡大する根拠となるデータの信ぴょう性をめぐり、厚生労働省は19日午前、衆院予算委員会の理事会に調査結果を報告した。厚労省は、質問方法の異なるデータを比較して一般労働者の労働時間の方が長くなるという結果を出していたと説明し、「不適切だった」と陳謝した。野党は精査が不十分などと一斉に批判、同日の衆院予算委で政府への追及を強めた。あす20日以降も「データ問題」を中心にした質疑が展開される。
この問題は、安倍晋三首相が1月の衆院予算委員会で、「平均的な方で比べれば、裁量労働制の労働時間が一般労働者より短いというデータもある」と答弁。裁量労働制の効果を強調していたが、2月14日に「1月の答弁を撤回するとともに、おわび申し上げたい」と撤回、謝罪。首相が根拠とした厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査結果」について、19日の同理事会に加藤勝信厚労相が調査のデータを精査して公表することになっていた。
厚労省によると、一般労働者の残業時間は1カ月のうち「最も長い日」のデータを用い、これに法定労働時間の8時間を単純に加えて1日の労働時間を算出。一方で、裁量労働制は通常の1日の労働時間を使用していた。理事会への報告後の予算委では、野党委員が「精査が不十分だ」、「異なるデータを比較した経緯を明らかにせよ」、「加藤厚労相は責任をとるべき」など、政府を厳しく追及した。この問題について、野党は足並みをそろえている。
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