政府が一括法案(束ね法案)として提出を目指す「働き方改革関連法案」の裁量労働制に関する労働時間をめぐり、厚生労働省の調査データに疑義が生じている問題で、連合の神津里季生会長=写真=は「裁量労働制であれば(労働)時間が少なくて済むような印象操作的な答弁を作った罪は極めて大きい。パンドラの箱を開けたようなものだ」と厳しく批判した。16日、東京・永田町の憲政記念館で開かれた会見で述べた。
この問題は、安倍晋三首相が1月の衆院予算委員会で、「平均的な方で比べれば、裁量労働制の労働時間が一般労働者より短いというデータもある」と答弁。裁量労働制の効果を強調していたが、野党から繰り返し追及された結果、2月14日に「1月の答弁を撤回するとともに、おわび申し上げたい」と撤回、謝罪した。首相が根拠とした厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査結果」について、週明けの19日に加藤勝信厚労相が調査結果のデータを精査して公表することになっている。
神津会長は、連合が裁量労働制の現在の運用実態においても「極めて問題あり」と主張し続けてきたことに触れて、「期せずして大事な部分に光が当たった。世の中に見える形で徹底的に実態にメスを入れるべきだ」と指摘した。
政府は当初、今月27日に「働き方改革関連法案」を閣議決定して、国会に提出する段取りを組んでいたが、19日以降も野党の“攻撃”は必至の情勢。また、政府が法案提出に向けて必要な手続きとなる自民党の厚生労働部会などの了承も遅れており、3月にずれ込む公算が高まってきた。