東京商工リサーチが8日発表した2017年の人材派遣会社の倒産は76件で、前年の61件を24.5%上回った。負債総額も60億2000万円と前年の44億5100万円を35.2%上回り、件数、負債額とも2年連続の増加となった。
企業倒産は全体で8405件(前年比0.4%減)とバブル期並みの低水準だったが、人材派遣業界の倒産件数は上昇傾向にある。昨年は負債額10億円以上が1件のみだったのに対して、同1億円未満が59件に上ったことから、同社では「人手不足で業界には追い風が吹いている印象が強いが、企業が正社員を増やしているため、派遣登録の人手不足が進み、人材を確保しやすい大手の競争力が強まっている結果」と分析している。
さらに、15年の労働者派遣法の改正で資産要件の基準が厳しくなり、経過措置期間が今年9月に終了するため、中小派遣会社の経営環境は一層厳しくなることが予想される。