日本人材派遣協会(水田正道会長)は24日、東京都内で2018年新春セミナーを開いた=写真・上。リクルートワークス研究所・労働政策センター長の中村天江氏と、日本最大級のクラウドソーシング企業・ランサーズ社長の秋好陽介氏による講演を通して、全国の会員企業の代表たちが働き方の多様化と変化する労働市場をテーマに近未来の派遣事業者の役割などを展望した。
中村氏は、「100年キャリア時代の『派遣』」、秋好氏は「フリーランスを取り巻く市場の実態について」と題して講演。中村氏は「働き方」に関する厚生労働省や経済産業省の有識者検討会・研究会の委員を務めた知見も交え、加速する少子高齢化と人口減少の中で起きている労働市場の“抜本的な地殻変動”について解説。これからの「100年キャリア時代」の就業システムのあり方と重要性を説きながら、磨きをかければ派遣の機能がその一翼を担える可能性を示唆した。
秋好氏は、2008年にインターネットを通した個人と法人の仕事をマッチングする国内最初のフリーランス支援サービス事業を開始し、現在はニーズに対応した複数の新サービスを提供。実際に活躍中の地方在住のフリーランスの事例を紹介して事業の特徴と個人における働き方の変化の潮流を分かりやすく伝え、「産業寿命が短くなる一方で個人の人生は100年になり、今までの働き方や社会の仕組みのままでは通用しない。広義のフリーランスが増えていく中で、『働く』の周辺にある課題解決を一緒に考え、環境づくりを共につくっていけたら嬉しい」と、働き方の新時代到来を見据えて期待を込めた。
この後、両氏は派遣協の鬼頭秀彰副会長を司会にトークセッションを繰り広げ、派遣事業の現状や将来などについて、現場実態に踏み込んだ中身の濃い考察を展開した=写真・下。
新春セミナー後の懇親会で水田会長は「働き方改革は多様性であり、多様性とは一人ひとりがやり甲斐を持って能力と経験を120%発揮できる姿を指すのだろう。我々の業界はまさに『多様性のある働き方時代の出番』との意識を高く持って努力していこう」と呼び掛けた。