経団連の第121回労使フォーラム2日目の23日、企業担当者によるパネルディスカッション「活力ある職場を創る各社の取組み」が開かれた=写真。味の素の松澤巧執行役員、NTTデータの柳圭一郎取締役、大和証券グループの望月篤常務執行役の3人が各社の取り組みを披露し、法政大学の松浦民恵准教授が司会を務めた。
松澤氏は、2008年から労使プロジェクトとして働き方改革を経営戦略に位置付け、「所定労働時間7時間」を実現しつつある成果を披露。柳氏は、さまざまなテレワークを通じて業務や通勤時間の短縮を図っていることを説明。望月氏は、15年から本格的に取り組みを始めた社員の健康増進を図る「健康経営」の各種施策を解説した。
松浦准教授は、働き方改革を深化させるには男性正社員を中心とした「同質性マネジメント」から、就労条件の異なる社員を管理する「ダイバーシティ・マネジメント」の必要性を強調。生産性向上という「マジックワード」に対して、仕事量の適正化策や多様な人材育成策などについて、3人と議論を深めた。
今春闘では大幅賃上げと同時に、「労働生産性向上との一体的取り組み」も重要課題となっているが、賃上げと異なり、息の長い取り組みが必要なだけに、3社のような先進事例が企業全体に浸透するにはまだ時間が掛かりそうだ。
これに先立ち、同日朝行われた榊原定征経団連会長と神津里季生連合会長との春闘会談では、榊原会長が「3%という社会的期待は意識する」と述べながらも、月例賃金の引き上げにこだわらない姿勢をみせたのに対して、神津会長はあくまで月例賃金の4%引き上げにこだわる姿勢を維持。賃上げ手法をめぐるこれまでの食い違いを鮮明にした。
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