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2018年1月22日

労使とも大幅賃上げに意欲  経団連の労使フォーラム

 春闘の前哨戦となる第121回経団連労使フォーラムが22、23両日、東京・大手町の経団連会館で開かれ=写真、初日は経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長が、それぞれの立場から春闘に臨む心構えを述べた。

n180122.png 榊原会長は開会あいさつで、政府が予定している働き方改革関連法案の中の労働時間の上限規制について、「働き方を変える意識の変革は容易ではないが、社員の健康確保は最重要事項であり、過労死・過労自殺は絶対あってはならないこと」と断言した。

 春闘については、「賃上げの環境は整っている。これまでの4年間、着実に賃上げを実施してきたが、根強い将来不安などで個人消費は力強さを欠いている。個々の労使交渉で決めるという賃上げの大原則に沿いながら、3%(という引き上げ率)を社会的期待と意識して応えていきたい」と述べた。

 続いて、経団連の椋田哲史専務理事が「2018年版経営労働政策特別委員会報告」の内容を解説。大幅賃上げによって社内の好循環を生み出し、それを経済全体の好循環につなげて完全なデフレ脱却を実現するという、今年の春闘の狙いを説明した。

 これに対して、神津会長は賃上げの具体的な目標には言及せず、過去4年間の賃上げの恩恵が必ずしも雇用者全体に波及しなかった理由について、労組のある大企業と、労組のほとんどない中小企業との賃上げに格差が生じている事実を挙げ、「賃上げは労使交渉によってのみ決まる」と述べた。

 そのうえで、メディアが多用している「官製春闘」の表記に対して、「交渉現場の苦労をないがしろにする言い方であり、交渉結果にも良い影響をもたらすことはない」と批判した。

 今春闘の賃上げについては、経団連は「3%の社会的期待を意識」しており、連合は定期昇給とベースアップを合わせて「4%程度」を目標に打ち出していることから、3%台の攻防になる可能性が強まっている。

 

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