日本生産技能労務協会の物流部会(道上良司部会長)は12日、都内で第4回「物流人材サービス特別セミナー」を開いた=写真。全国各地から物流人材事業に携わる現場担当者と発注先である企業関係者ら約250人が参集。講演を通じて事業の実務に役立つ最新動向などをつかみ、業界のけん引役として意識と知識を高めた。
物流部会は、技能協(青木秀登会長)の全面的なサポートを受け、2014年に業界8社でスタート。現在は16社が参画しており、会員加入の流れが広がっている。冒頭、道上部会長は「物流人材サービス業界で働く人たちの雇用の安定、処遇の向上をはじめ、安全衛生水準を高めて業界の健全な発展を加速させていこう」と呼び掛けた。
この日は、東京労働局の井上英明需給調整事業部長と業界に精通している安西愈弁護士が講演。井上部長は「労働力需給調整事業の現状と課題」と題して、東京労働局管内の指導監督の特徴や最近の物流業界に絞った行政処分の傾向、具体的な事例などを説明。また、2015年の改正労働者派遣法に伴い、来年9月で届け出制の特定派遣事業が廃止され、許可制の一般派遣事業に一本化されることに注意を促し、早期の一般への切り替えを促した。
このほか、来年4月に本格実施となる「有期通算5年の無期転換ルール」(13年の改正労働契約法)への対応、改正職業安定法に基づき来年1月施行の「求人募集時のルール改正」などの要所について分かりやすく解説。加えて、指導監督における本年度の5つの重点取り組み方針を説明し、「派遣元と派遣先が協力して適切な運営をすることが重要となる」と述べた。
安西弁護士は「来年4月に迫った無期転換対応と同一労働同一賃金をめぐる問題」と題し、(1)無期転換へ企業はどう対応するか、(2)同一労働同一賃金の立法内容、(3)法改正の方向(法案要綱)と内容、(4)同一労働同一賃金ガイドライン案、(5)定年後再雇用と労働契約法の不合理な労働条件の禁止――の5つの視点から、現場実態に即して丁寧に説明した。
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