厚生労働省は9日、2016年度の賃金不払い残業の是正結果を発表した。それによると、1349企業に対して合計127億円余の支払いを命じた。15年度に比べ、是正数は1企業、支払い額は約27億円増えた。対象労働者数は9万7978人で同5266人増え、支払い平均額は1企業あたり943万円、労働者1人あたり13万円だった。
業種別で多かったのは商業の304件、製造業の267件、保健衛生業の158件だったが、支払いの対象になった労働者は製造業が1万9447人、保健衛生業が1万7103人、商業が1万6779人と一部順序が入れ替わっている。
具体事例では、企業のパソコンのログ記録と実際の残業時間が違っていた、タイムカードの打刻後も仕事を命じられた、などがあった。
公表企業は労働基準監督署が監督指導した企業のうち、支払い額が100万円以上になった企業。
一方、トラック、バス、タクシーなどのドライバーを使う企業に対して行った監督指導状況についても発表し、指導対象になった4381事業所のうち、違法な長時間労働などの労働基準法違反があったのは83%にあたる3632事業所に及んだ。違反企業はトラックの配送事業などが2585事業所と圧倒的に多かった。