「高度プロフェッショナル制度(高度プロ)」の創設などを盛り込んだ労働基準法改正案の修正について、連合は7月中の政労使合意を見送る方針を固めた。27日に開く臨時の中央執行委員会で正式に確認し、「修正による事実上の容認」から「これまで掲げていた反対姿勢」に戻る。政府は秋の臨時国会で、「高度プロ」創設なども束ねた形で「働き方改革関連法案」の一括成立を狙っていたが、連合の“方針再転換”によって国会審議の行方は予断を許さない状況となった。
修正の政労使合意は、高度プロなどの「事実上の容認」となるため、“寝耳に水”だった連合傘下の地方組織などから連合方針やプロセスに反発の声が相次ぎ、21日 の定例の中執委でも意見集約できなかった。27日に予定されていた政労使会談は中止となる公算。今回の一連の動きは、政府と連合執行部の双方に大きな痛手となり、それぞれ今後の対応と体制の練り直しが急務となっている。
「高度プロ」は、専門職で年収の高い人を労働時間の対象から外し成果で評価する仕組みで、2015年4月に提出された労働基準法改正案の目玉の一つ。政府は「働く時間にとらわれない生産性を高める働き方」と主張するが、連合や野党からは「残業代ゼロ法案」「長時間労働の是正に逆行」などと強い批判と抵抗を受け、審議入りも出来ないまま2年以上が経過していた。
政府は、臨時国会に(1)同一労働同一賃金の導入(関係3法案の改正)と(2)残業時間の罰則付き上限規制(労基法改正案)を提出する考えで、その際、(2)の労基法改正案と「高度プロ」を盛り込んだ労基法改正案を「一本」にまとめる構え。こうした流れに、連合幹部は「高度プロなどには反対だが、そのまま成立してしまうより、出来るだけ修正させた方が有効」と判断。政労使間での水面下交渉を経て、今月13日に連合の神津里季生会長が安倍晋三首相に修正を公式要請し、これを反映させた修正内容で月内に政労使合意にこぎ着ける段取りだった。
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