厚生労働省は30日、2016年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。それによると、脳・心臓疾患の労災請求件数は825件(前年比30件増)で、そのうち業務上と業務外の決定件数は680件(同9件増)。決定件数のうち、業務上と認定した支給決定件数は260件(同9件増)に増加、認定率は38.2%(同0.8ポイント増)だった。
このうち死亡事故は請求件数が261件(同22件減)、決定件数は253件(同7件増)、支給決定件数は107件(同11件増)、認定率は42.3%(同3.3ポイント増)となった。
一方、精神障害の労災補償は請求件数が1586件(同71件増)、決定件数が1355件(同41件増)、支給決定件数が498件(同26件増)、認定率は36.8%(同0.7ポイント増)となった。支給決定件数は過去最高。
このうち、自殺(未遂を含む)は請求件数が198件(同1件減)、決定件数が176件(同29件減)、支給決定件数が84件(同9件減)、認定率は47.7%(同2.4ポイント増)となった。
請求件数で業種別で多いのは、「社会保険・社会福祉・介護事業」の167件、「医療」の134件と医療・福祉分野が突出して多い。支給決定件数も各46件、32件と最も多かった。
問題は労働時間で、支給決定件数を1カ月あたりの残業時間別にみると、最も多かったのは「20時間未満」の84件だったが、次いで「160時間以上」が52件、「100時間以上~120時間未満」が49件と続いており、医療・福祉現場の過重労働ぶりがうかがえる。