厚生労働省が19日発表した2016年「労働災害発生状況」によると、労災死者は928人(前年比4.5%減)、死傷者(死亡と休業4日以上のけが)は11万7910人(同1.4%増)となった。死亡者は1949年の統計開始以来、15年に初めて1000人の大台を下回ったが、16年はさらに減少して2年連続の過去最少となった。しかし、死傷者は09年の10万人台を底にしているが、その後は11万人台を続けていて減る兆しはない。
死亡者の多い業種は建設業の294人(同10.1%減)、小売業等の248人(同0%)、製造業の177人(同10.6%増)など。事故タイプ別では、高所からの墜落・転落が232人(同6.5%減)、交通事故が218人(同15.3%増)、機械などによるはさまれ・巻き込まれが132人(同3.1%増)など。
死傷災害は小売業、社会福祉施設、飲食店で増加したことが影響して前年を上回った。これらの業種では複数の店舗、施設を展開する法人傘下の事業所における災害が多く、店舗や施設に安全衛生担当者がいないなど体制が脆弱なことから、厚労省は本社・本部の主導による自主的な安全衛生活動の促進を図るため、17年から「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」の実施や指導を実施している。