東京商工リサーチは17日、厚生労働省が10日に企業名を公表した「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に関連して、書類送検された334件(332社)に対する「労働基準関係法令の違反企業実態調査」を発表した。
それによると、違反企業の産業別では建設業が115社と最大の3割を占め、製造業76社、サービス業など68社の順。売上高別では10億円未満が164社と7割近くを占め、100億円以上は21社にとどまった。
違反内容では残業の割増賃金未払いや36(さぶろく)協定の無視など、長時間労働に関する労基法違反が63社あった。産業別では電通を含むサービス業などが26社で最も多く、縫製加工業が8社、飲食業と医療・介護サービスが各4社と業種に偏りがみられた。
この分析結果について東商リサーチは、今回の公表企業が下請けや過当競争を強いられるサービス業などの小規模事業者が大半を占めている点に注目。「改革に着手できるのは業績が安定し、余裕のある大企業に限られるとの指摘もあり、国内の企業全体への浸透はまだ入口に立ったに過ぎない」としている。
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