労働政策審議会の同一労働同一賃金部会(守島基博部会長)は16日、第3回会合を開き、間接雇用の「派遣労働者」に関する均等・均衡に向けた法整備の議論を始めた=写真。論点案として事務局の厚労省は、(1)派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善、(2)派遣元との労使協定による一定水準を満たす待遇決定――の2つの制度設計を提示。派遣元の選択制とする方針で、委員が論点案を踏まえて厚労省に見解を求めた。次回会合も、派遣関係の議論を続行する。
(1)の方式は、派遣先に対し、派遣先の労働者の賃金などの待遇に関する情報提供義務を課すほか、派遣元は情報提供がない場合は、労働者派遣契約を締結してはならない――などを柱とする。(2)は、派遣元が労働者の過半数で組織する労働組合や労働者の過半数代表者と話し合い、書面による「労使協定」を締結して、同種業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上にすることを含む3要件の実施――などを軸としている。
(2)の「労使協定」は、過半数を組織する労働組合や過半数代表者を指し、労働組合と結ぶ「労働協約」とは異なり、この点に労働側委員が難色を示した。一方で、早期の法整備を視野に入れた現実論として、厚労省案を容認する姿勢もうかがわせた。このほか、公労使委員の活発な議論の中で、「同種業務の賃金水準」の論拠がどのような統計で足りるのかなど、想定される目安の統計データはあっても「絶対的な物差し」がないという課題も浮き彫りとなった。
この日の会合を整理すると…
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