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2017年3月21日

再雇用社員のヤル気引き出すには  人事担当者が披露 労政フォーラム

 労働政策研究・研修機構は21日、東京・有楽町で労働政策フォーラム「生涯現役社会の実現に向けて~高年齢者の活用の実態と課題」を開いた=写真。学習院大学の今野浩一郎教授が「生涯現役社会の実現に向けて」、同機構の田原孝明統括研究員が「高齢者雇用をめぐる現状と課題」と題して基調講演した。

n170321.JPG 企業事例では、小西敦美・日本クッカリー(日本水産の子会社)人事労政部担当部長、立花一元・損害保険ジャパン日本興亜人事部主査、小野貴洋・テクノスチールダイシン常務、菊岡大輔・大和ハウス工業東京本社人事部次長の4人がそれぞれの取り組み事例を発表した。

 日水では60歳定年後に再雇用制度「シニア職員制度」を採用、現在140人近くが勤務しているが、社員の半数が45歳以上で、今後、制度の整備が重要になるとの認識を強調した。立花氏は、同社は早くから働き方改革を進めているが、60歳定年後は6割の社員が65歳まで再雇用されており、今後は65歳以降をどうするかが大きな課題になるとした。

 小野氏は、鉄骨製品加工の同社は従業員63人の中小企業で、70歳定年制を実施。定年後の再雇用も年齢制限の上限を設けていないといい、慢性的な人手不足に悩む中小企業の「社運をかけた政策」であると強調。菊岡氏は、2013年に65歳定年制に踏み切った同社の狙いを説明し、15年からは65歳からの再雇用制度「アクティブ・エイジング制度」を開始した経過を解説した。

 4社とも高齢社員の処遇には前向きな企業だが、再雇用後の給与は半減、年下の部下に仕えるなど、一般的に高齢社員のモチベーションを上げる政策を採用している企業は少ない。このため、各社とも「管理職には研修を通じて自分の“市場価値”を認識してもらうようにしている」「成果と報酬の関連を明確に説明するようにしている」といった試行錯誤を重ねており、「生涯現役」社会の実現が会社に頼るうちは限界があることを示唆するシンポジウムとなった。

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