関係閣僚と有識者で構成する働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)は17日、首相官邸で会合を開き、繁忙期に特例として認める残業時間の上限規制について「月100時間未満」とすることなどを決めた。政労使が共同提案する格好で同会議に示した。政府は、3月末までに策定する「働き方改革」関連全体の実行計画に盛り込む方針だ。
残業時間の罰則付きの上限規制をめぐっては、2月1日以降、経団連と連合が断続的に協議を重ね、合意できる部分を探ってきた。ただ、特例の上限をめぐっては、経団連が「100時間以下」、連合は「100時間未満」の表記を主張して譲らず、3月13日に安倍首相が「未満」を支持した経過がある。
共同提案の内容は、13日に労使が公表した合意文書と同様だが、可能な限り残業時間を削減するため、労働基準法に新たに指針を設けることなども盛り込まれた。政府は労基法改正案を年内に国会に提出する考えで、施行は19年度を目指す。
実現会議では、(1)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、(2)賃金引き上げと労働生産性の向上、(3)時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正、(4)雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題、(5)テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方、(6)働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備、(7)高齢者の就業促進、(8)病気の治療、子育て・介護と仕事の両立、(9)外国人材の受け入れの問題―の9つをテーマに掲げており、今月末の実行計画には、これらの方向性や工程表が示される見通しだ。