2017年春闘は15日に集中回答日を迎え、大企業メーカーを中心に一斉に賃上げ回答が出た。ベースアップでみると、自動車はトヨタが1300円(前年1500円)、日産自動車が1500円(同3000円)、電機は日立製作所が1000円(同1500円)、パナソニックが1000円(同1500円)、造船重機では三菱重工が1000円(同1500円)など、前年を下回る回答が続出。政府が企業側に大幅賃上げを要請する「官製春闘」は4年目で息切れ気味となった。
政府は年初に安倍首相が「少なくとも前年並みの賃上げ」を経団連に要請し、経団連も傘下企業に呼び掛けたが、昨年前半の円高基調や米トランプ政権の経済・通商政策に不透明な部分が多いことなどから、経営者側は慎重な姿勢に終始。加えて、「働き方改革」に伴って、企業の人件費コストがアップする懸念も加わり、ベアは抑制してボーナスなどを増やし、年収ベースで労働側に応える企業が増えたのが要因とみられる。
大手の賃上げが低調だったことから、今後本格化するサービス業や中小企業の賃上げ交渉などにどの程度影響が及ぶか、政府は注視している。また、この日、会見した連合の神津里季生会長=写真=は「過去3年間の経過と実績、交渉の積み上げがあって今回の水準に至っている。デフレ脱却には、物価上昇が見られない状況でもベアを含めた賃上げが続くことが重要だ」と、中小企業の賃上げに期待をにじませた。