帝国データバンクが14日発表した2017年度「賃金動向に関する企業の意識調査」によると、回答企業の過半数が賃金改善を見込んでおり、過去最高となった。人手不足の本格化により、賃金面の処遇改善が生き残りの条件になりつつあることを企業側が意識していることが明らかになった。
17年度の賃金改善が「ある」と見込んだ企業の割合は51.2%で前回を4.9ポイント上回り、初めて50%を超えて過去最高を更新。具体的には「ベア」(40.3%)、「賞与」(28.8%)で、どちらも過去最高の比率だった。
改善の理由は「労働者の定着・確保」が76.2%で最も多く、3年連続で増加。一方で、「自社の業績拡大」は44.9%で4年連続の減少(複数回答)。多くの企業にとって、将来的な業績見通し以上に、足元の労働力確保が喫緊の課題となっていることをうかがわせる。同社では、賃金改善が実施された場合の総人件費は平均2.61%増、総額で約3.5兆円増えると予想している。
同調査は06年から毎年実施。今年は1月後半、全国2万3796社を対象に実施、うち1万195社から回答を得た(回答率42.8%)。