昨年の通常国会と今年の通常国会の2国会にわたり「審議入り」もできず、未着手のまま継続審議となっていた政府提出の労働基準法改正案について、衆院厚生労働委員会は14日、会期末の臨時国会で3度目の継続審議を決めた。最初の法案提出から1年8カ月が経過する中、政府の長時間労働是正対策などを含む労働政策の方向性は変化しており、同改正案は年明けの通常国会で「取り下げ」か「修正」となる公算が高い。
上程中の労基法改正案は、(1)労働時間でなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度(高度プロ制度)」の創設だけにとどまらず、(2)フレックスタイム制の清算期間を現在の1カ月から3カ月に延長、(3)裁量労働制の対象となる企画業務型に、法人向けの課題解決型提案営業などを加える、(4)年次有給休暇が10日以上ある労働者の場合、5日は企業側が時季指定、(5)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の廃止――などが盛り込まれている。
この「改正パッケージ項目」には、労使双方からそれぞれ異なる部分で反対と懸念が強い。今後、政府と与党・政務調査会による同法案の取り扱いの協議が注目される。
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