東京商工リサーチが9日発表した今年1~10月の「労働者派遣業の倒産状況」によると、倒産件数は54件で、前年同期に比べて4件増えた。負債総額も38億200万円で同2億8900万円(8.2%増)増えた。このペースで行くと、年間では2013年以来、3年ぶりに前年を上回る可能性があるという。
ただ、負債額でみると、1件あたり10億円以上の大型倒産はなく、7000万円と前年と同じ水準で、小規模倒産が際立っている。原因は「販売不振」が6割を占め、従業員5~20人未満の企業が6件から16件と2.6倍に増えた。大手との競争に耐えられず破産する中小零細の派遣会社が増えていることが鮮明になった。
昨年9月に改正労働者派遣法が施行。特定派遣の届け出制が廃止となり、一般派遣の許可制に一本化(18年9月まで暫定期間)され、資産要件が従来の特定派遣事業に比べて厳しくなった。また、有給無償を含む教育訓練の義務化なども盛り込まれた。東京商工リサーチでは「今後は一般派遣でも、体力のある大手との競争によって中小零細の派遣会社が淘汰される可能性が高い」とみている。