厚生労働省が28日発表した2016年「高年齢者の雇用状況」によると、高齢社員の処遇について、「定年制を廃止した」企業は4064社(全体の2.7%)、「定年を引き上げた」企業は2万4477社(同16.0%)、「継続雇用した」企業は12万3734社(同81.3%)となった。
定年制を廃止した企業の割合は1年前の2.6%から0.1ポイント増加。同様に、定年引き上げは0.5ポイント増、継続雇用は0.4ポイント減となった。継続雇用を採用している企業のうち、希望者全員を雇用している企業は8万4893社で68.6%を占め、「基準該当者」に限定している企業は3万8841社で31.4%を占めた。1年前より各1.5ポイントずつ増減している。
改正高年齢者雇用安定法では、企業に対して65歳まで希望者全員の雇用確保を義務付けているが、一部は健康上の理由などで「基準該当者」に限定する経過措置を設けている。改正法施行後も、大企業を中心に8割以上は60歳定年制を維持したうえで、その後は継続雇用で対応している。定年制廃止などに踏み込んだ企業の比率はまだ少ないが、徐々に比率を上げてきており、若年世代の減少によって労働力不足が進んでいることから、今後も追随する企業が増えると予想される。
調査は今年6月1日時点の状況について、常用労働者が31人以上いる15万3023社を対象に実施した。