厚生労働省は30日、2016年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。全体を「労働経済の推移と特徴」「労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題」「人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて」の3章で構成し、政府が目指す「一億総活躍社会の実現」を意識した内容となっている。
主なポイントは、(1)少子高齢社会での成長実現には、資本投入に加えて労働生産性の向上が必要不可欠。日本は海外主要国に比べて無形資産の上昇率が弱いため、ソフトウエアなどIT関連の情報化資産やOFF-JTをはじめとする人的資本への投資増が重要。
(2)労働生産性の向上は、賃金上昇など労働者にとってプラス効果が大きいうえ、就業者の減少や失業者数の増加にはつながっていない。
(3)今後の人口減の中でも、高齢者は増加が見込まれ、就業している人も増加中。一方で、就業はしていないが、就業意欲のある高齢者も多く、そうした人々が活躍できるよう、多様な働き方ができる環境整備が必要――などを指摘している。