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2016年7月27日

雇用主らに虐待受けた障害者が倍増  15年度厚労省調査

 厚生労働省は27日、2015年度「使用者による障害者虐待等の状況」を発表した。それによると、虐待の通報・届け出のあったのは1325事業所(前年度比34.5%増)、対象になった障害者は1926人(同50.9%増)。このうち、労働局などの調査の結果、虐待が認められたのは507事業所(同69.6%増)、対象の障害者は970人(同約2倍)と大幅に増えた。

 虐待をした使用者は519人で、事業主が450人、所属上司が48人など。被害者の障害別(重複)では知的障害者が553人、身体障害者が209人、精神障害者が202人などとなっている。

虐待内容の内訳(重複)は賃金不払いなどの経済的虐待が855人、心理的虐待が75人、身体的虐待が73人など。知的障害者に対する賃金不払いなどが493人で最も多かった。

 悪質事例としては、生活関連サービス業のパート勤務だった知的障害者が、仕事がうまくいかないと事業主にモップの柄で頭を叩かれたりした。製造業のパート勤務の知的障害者の時給が最低賃金を約300円下回っていた、などを挙げている。

 障害者雇用促進法の改正で、企業の障害者雇用義務が強化され、障害者の雇用が増えているものの、それと同時に虐待などのトラブルも増えている実態が明らかになった。同調査は障害者虐待防止法に基づいて、毎年調査、公表している。

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