日本経団連は19日、「同一労働同一賃金の実現に向けて」と題する提言を発表した。政府が推進する同一労働同一賃金に対して、経営側から条件を付けた内容となっている。
6月の政府の閣議決定では(1)非正規労働者の待遇改善を図るため、労働契約法などの現行法に沿ったガイドラインを策定(2)正規と非正規の不合理な格差是正に向けて、現行法の一括改正を検討――の2点を挙げ、今回の参院選では与党が両者の賃金格差を現在の6割強から2割程度に縮小する公約を掲げた。
これに対して、経団連の提言では、日欧の賃金制度が根本的に異なっていることなどを理由に、(1)わが国の賃金制度は多様であり、職務給を前提とする欧州型の導入は困難(2)現行法の考え方を基本的に維持すべき――など、あくまで現行法の枠内で検討し、法改正による規制には反対している。
法改正の可否などは、公労使で構成される労働政策審議会での議論が必要になることから、経団連として事前に“基本方針”を公表した形だ。