人材サービス産業協議会(JHR、水田正道理事長)は1日、東京都内で「2016年度優良派遣事業者認定制度シンポジウム~認定制度の効果と今後への期待~」と題するシンポジウムを開催した=写真上。同制度は14年度からスタート。JHRは制度の推奨事業の運営を厚生労働省から受託しており、今回初めて多彩な内容を盛り込んだシンポジウムを企画した。全国各地から約200人が参加し、あらためて制度の仕組みを学んだほか、審査認定機関(第三者機関)による審査項目をクリアして認定を得た企業の事例紹介や、識者らを交えたパネルディスカッションを通じて、制度の有益性と取得に向けた意識を高めた。
シンポジウムは3部構成で、最初にJHRの優良派遣事業者推奨事業事務局の川渕香代子部長が、認定制度の過去2年の実績を踏まえた特徴や要所を分かりやすく紹介。加えて、今年度の審査認定機関の決定から全国説明会、申請受け付け時期など一連の日程予定を説明した。
第二部は、「認定企業が語る“認定取得の目的とステップ”」とのタイトルで、15年度に認定を取得した事業者の中から、トラスト・テック(東京都港区、西田穣社長)、日研トータルソーシング(同大田区、清水浩二社長)、ピープル(滋賀県草津市、山本桂士社長)の3社の担当責任者が、それぞれの会社における取得のための取り組みの事例を発表。審査申し込みの理念から取得に至るまでの課題や苦労、メリットなどを披露した。いずれの事業者も、エピソードを添えた参加者に有益な発表内容を展開。「取得に向けた全社的な認識共有と体制構築」という共通のキーワードも明確になった。
第三部は、「認定制度の効果と今後への期待」をテーマにパネルディスカッションを実施。中央大大学院経営戦略研究科の佐藤博樹教授をコーディネーターに、日本生産技能労務協会の青木秀登副理事長、日本エンジニアリングアウトソーシング協会の牛嶋素一代表理事、日本人材派遣協会の上月和夫副会長の3氏がパネラーとして登壇=写真下。3氏はそれぞれの業界団体の特性を背景に、同制度の有効性について3方向の視点から意見を述べた。そのうえで、「働く人、受け入れ企業(派遣先)の両方にとって事業者を選ぶ際の判断基準になる」との認識で一致し、さらなる制度の普及・拡大と認知度向上の必要性を強調した。また、10年度より製造請負事業改善推進協議会が厚労省から受託している製造請負の「優良適正事業者認定制度」に関する言及もあり、それぞれの制度の類似点と違い、双方のメリットも共有した。
全3部構成の日程を終えた後、参加者からの質疑応答の時間も設けられ、具体的な項目に関して活発なやり取りが展開された。
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