連合主催の第87回メーデーが29日、全国各地で開かれ、東京・代々木公園で開かれた中央大会には、主催者発表で約4万人が集結した。「働くことを軸とする安心社会」を掲げた「暮らしの底上げ・底支え、格差是正」の実現を図ることを盛り込んだ「メーデー宣言」と「特別決議」を採択。がんばろう三唱で結束を確認し合った=写真。
今年のメーデーは、連合会長に神津里季生氏が就任して初めての式典となる。一昨年は支持政党の民主党(当時)だけでなく幅広く声を掛け、自民党総裁の安倍晋三首相をはじめ、(当時の)与野党9政党の代表らが参集。昨年から運営と進行上の観点から政府代表(厚労相)と野党の民主党のみを招待。今回は、野党では民進党を招き、岡田克也代表が出席した。
神津会長はあいさつで、「暮らしの底上げに徹した運動を展開した結果、会員組織それぞれの奮闘で確実に新たな傾向と成果がみられる」と強調。また、政府代表の塩崎恭久厚労相を意識して「長時間労働の是正などの動きが政府から挙がっているが、連合は是々非々で臨み、良い政策であれば実現してもらいたい。ただ、間違っても7月の参院選が終わった途端に態度が変わることがないよう、さまざまな連携の中で釘を刺していく」とけん制した。
一方で、支持・連携政党である民進党を念頭に、「(自公の)一強政治ではなく、もう一方の受け皿が必要だ。そのためにも民進党には目先の人気取りに走るのではなく、持続可能性の確かな責任ある政策と行動で国民の期待に応えてもらいたい」と、指摘も込めたエールを送った。
続いて、あいさつに立った塩崎厚労相は、直近の有効求人倍率の高さや失業率の低さなどの数字を紹介したうえで、「日本は人口減少と少子化に伴う労働人口の減少、そして高齢化という、先進7カ国の中でも唯一の難しい課題をすべて抱えている国だ。容易に解決するものではないが、成長と分配の好循環を実現するために、あらゆる施策を打ち出して課題の解消を目指す」と強調した。
塩崎厚労相が公務で退席した後、岡田代表は「民進党代表として初めてこの壇上に立っている。連合には苦しいときも厳しい時も民主党を支えてもらって感謝している。なぜ、いま民進党なのか。巨大与党の自民、公明、そして安倍政権の暴走を止めるために私たちは一歩前に出なければいけないと考えた」と説明。
加えて、「政府が長時間労働の是正を唱えるならば、国会に提出中の裁量労働制を幅広く認めた労働基準法改正案を修正して出し直すのが先だ。また、平和主義を捨てて海外に普通に武力行使できる国になってしまうかもしれない。だから、夏の参院選でしっかり歯止めをかけていかなければならない」と主張した。
5月1日には、全労連や全労協がメーデーの中央大会を開く。
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