労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の厳格な制度運用をめぐる問題で、厚生労働省は5月下旬をめどに、「再就職支援を行う職業紹介事業者は、労働者に対して、その自由な意思決定を妨げるような退職の勧奨を行ってはならないことを事業者の責務に追加する」といった趣旨の指針を告示する。26日に開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)=写真=の席上、明らかにした。
この問題に関しては、主に2月下旬から3月末にかけて野党が国会で繰り返し追及。それに対応する格好で、複数回にわたり事業者団体などに職業安定局長、担当課長、室長名で通知を発出してきたが、3月29日の参院厚生労働委員会で政府が「指針への格上げ検討」に言及していた。職業安定法第48条を根拠条文とした対応となる。制度の厳格化(記載項目の追加など)の対応は4月1日付で対応済み。
この問題の国会追及や報道を受けた一般的な受け止め方は、「退職勧奨を決定していない企業に積極的な退職勧奨の実施の提案をすることで、国の助成金を企業が活用して、それが提案した職業紹介事業者に流れている可能性があるのではないか」となっている。一連の厚労省の対応はそれを防止して、適格な運用を促すもの。
ただし、この問題に限らず、国会の追及やマスコミの論調が一方に極端に偏って、その対処策が表層的かつ狭隘(きょうあい)な対応に陥る傾向があり、今回の場合も「果たしてこの助成金を人材サービス業界は切望していたのか」、「政府のメンツより、助成金制度そのものを停止するか、支給方法の抜本的見直しをするか」といった、本質的視点の議論が欠けている感もうかがえる。
この日の需給部会では...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。
【関連記事】
労働移動支援助成金の支給要領など改定、厚労省
国会の野党追及に"再度"対応(4月5日)