NPO法人人材派遣・請負会社のためのサポートセンター(高見修理事長)は14日、東京・市ヶ谷で2016年第1回派遣・請負問題勉強会(アドバンスニュース協賛)を開いた=写真。
今年は「改正派遣法施行に伴う新たな課題~労使関係を考える」を年間テーマに据え、労使問題の第一人者である労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎主席統括研究員をコーディネーターに、さまざまな角度から分析、提案していく。派遣・請負現場で大きな課題となっているだけに、会場には予定を大きく上回る200人以上の関係者が出席し、関心の高さをうかがわせた。
濱口氏=写真右=は昨年9月に施行された改正労働者派遣法の成立過程を踏まえ、派遣業界が政治やマスメディアなどの偏見を容易に払しょくできない原因の一つに「味方になる労組がほとんどいない」点を挙げた。それを踏まえて「日本の労使関係の現状と課題」と題して講演した。
濱口氏は欧米や日本の近代労働関係史を概観したうえで、先進諸国では「仲良くケンカする」労使関係が一般化しているものの、日本では非正規労働者についてはそれがあてはまらず、労組が前面に立つ集団的労働争議の激減と労働者個人が訴える個別労働紛争の激増が顕著になっている点を指摘。
中でも、派遣・請負業界は就労形態から、個別紛争の「火薬庫」となっており、紛争を円滑に解決する集団的労使関係の新たな枠組みを設定する必要がある、と強調した。
この後、テクノプロ・ホールディングスの小山博史人事部長と高木工業の高木茂社長が、派遣・請負企業における労使関係について、自社の取り組みを報告。両社とも、非正規労働者の労組であるJSGU(人材サービスゼネラルユニオン)との交渉を通じて、経営を軌道に乗せた体験談を披露した。
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