ニュース記事一覧へ

2016年4月11日

「配偶者手当」見直し、労使に求める  厚労省の在り方検討会が報告書

 厚生労働省の有識者会議「女性の活躍推進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」(座長、阿部正浩・中央大学経済学部教授)は11日、報告書をまとめ、公表した。報告書では、多くの企業が実施している「配偶者手当」の支給は「夫は仕事、妻は家庭」という性別役割分業に基づいた日本的慣行だが、現代では主にパートタイム労働者など女性の「就業調整」の要因となっており、時代に合わないと指摘。

 その上で、同手当を含めた賃金制度の見直しを円滑に進めるためには、労働契約法や判例、企業の事例などを踏まえる必要があるとして、具体的には(1)ニーズの把握など従業員の納得性を高める取り組み、(2)労使の丁寧な話し合いと合意、(3)賃金原資総額の維持、(4)必要な経過措置、(5)決定後の新制度についての丁寧な説明――を提言した。

 厚労省によると、企業の7割ほどが「配偶者手当」を賃金に組み込んでいるが、その多くが配偶者控除の算定基準となる「年間103万円の壁」などの収入要件を踏まえた支給基準となっており、これが税制、社会保障制度とともに女性パート労働者の「就業調整」を生じさせる要因となり、女性の能力を十分発揮できない状況を生じさせていると考えられている。

 ただ、同手当の支給をやめると、賃金減少につながる労働者が大量に出て来ることから、報告書では賃金原資の総額は維持しながら、どういう形で賃金体系に反映させるか、労使による話し合いの必要性を強調している。

 同検討会は「日本再興戦略改訂2015」の中で、あり方を検討するよう盛り込まれたのを受け、昨年暮れから計4回会合を開き、報告書にまとめた。

PAGETOP