厚生労働省は4月1日付で、労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の支給要領と支給申請様式を改定する旨の通知を職業紹介事業者などに通知、即日、施行した。2カ月近くにわたり、衆参予算委員会や衆参厚生労働委員会などの場で民進党など野党が、同助成金の運用実態の問題点を追及してきたことへの対応。3月14日付で発出した「職業紹介事業者が提供するサービスに係る留意点」の通知に重ね、“再度”厳格な実施に向けて具体的な改定内容に踏み込んだ形となる。
また、同29日の参院厚労委では野党委員による「指針への格上げ要求」に対し、三ツ林裕巳厚生労働政務官が「(3月)14日付の職業安定局長通知をより徹底させる観点から指針に格上げする方向で検討する」と答弁している。
1日付施行の改定は、職業安定局雇用開発部雇用開発企画課・労働移動支援室長名で、表題は「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の取扱いについて」。内容は「不支給要件の新設」、「退職コンサルティングの範囲」、「確認方法」、「施行日」、「不正受給の取り扱い」、「その他」――の6項目で構成されている。
中でも、「不支給要件の新設」の部分は具体的で、「再就職支援の実施について委託契約を締結した職業紹介事業者(職業紹介事業者との関係が次の①~③に該当する事業所を含む)から、再就職援助計画又は求職活動支援基本計画書の対象者の離職日の前日から1年前の日以後に「退職コンサルティング」を受けた事業主は、当該対象者について労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)を不支給とする」と明記。①~③として、
①両者が親会社と子会社、又はその逆の関係にあること(注:ある事業主の総株主又は総社員の議決権の過半数を有する他の事業主を「親会社」、当該ある事業主を「子会社」とする)
②取締役会の構成員について、両者の代表取締役が同一人物であること、又は取締役を兼務しているものがいずれかの取締役会の過半数を占めていること
③その他、資本的・経済的・組織的関連性等からみて両者が独立性を認められないものであること
――の3つを挙げている。
また、「不正受給の取り扱い」では、「雇用関係助成金は、一般的に、事業主が支給申請書の内容を偽って申請して受給したことが後日明らかとなった場合、不正受給として受給額の返還を求めるとともに、以後3年間は他のすべての助成金について不支給となる」と、ペナルティ対応も記した。
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