連合と人材サービス2団体による、6年ぶりの「共同宣言」に向けた協議が本格化している。改正労働者派遣法(平成27年改正)に伴い、今後は製造系の請負社員に一定程度取り入れられていた「無期雇用」が、事務系派遣にも広がる状況にあり、さらに派遣元と派遣先の責任の明確化に関する項目が複数にわたって盛り込まれたことを踏まえた動き。「共同宣言」は、早ければ今月半ばにも公表され広く発信される見通しだ。
連合は、事務系派遣事業者が中心となる日本人材派遣協会(水田正道会長)と、製造請負・派遣事業者が主体となる日本生産技能労務協会(清水竜一会長)の2団体とそれぞれ事務局レベルを含め意見交換を進めており、2月22日の派遣協との初会合に続き、3月4日には技能協と初会合を実施した。場所は、いずれも都内の連合会館内で、今後は両団体と集中的な協議を展開する運びだ。
この日の技能協との初会合=写真=には、連合側から逢見直人事務局長ら役員幹部4人。技能協側から清水会長と若松義治理事長ら理事幹部ら6人が顔をそろえた。冒頭の両代表のあいさつで、逢見事務局長は「16年の春闘交渉が活発化しているが、連合は大企業だけの賃上げだけでなく、中小企業や非正規で働く人たちに広がりを持たせていく所存だ。また、派遣社員は派遣元と派遣先の両方とのかかわりがあるという特異性を持つ。改正法に満足している訳ではないが、現状の法の趣旨を生かした労働条件の向上や雇用の安定、キャリアアップなどの課題について、協議を通じて環境整備を進めたい」と強調した。
また、清水会長は「製造分野の派遣と請負をネットワークした業界団体として、需給調整において社会的役割を果たしていると認識している一方、課題もあることを承知している。これからは、キャリアアップや雇用安定に向けた具体策を一歩も二歩も進めていかなければならない。連合幹部とこのように議論をできることは有意義であり、働いている人の考え方の多様化に応えられるメニューをつくっていきたい」と述べ、派遣のみならず、無期雇用や正社員という形態も有する製造請負事業における経験と蓄積も協議の中で生かしていく考えを示した。
「共同宣言」は2010年4月26日に技能協と「派遣・請負労働者の処遇改善と派遣・請負事業の適正かつ健全な運営の促進に向けた共同宣言」を採択。また、同年5月24日には派遣協と「派遣労働者の待遇の向上と労働者派遣事業の適正な運営の促進に向けた派遣協と連合との取り組みに関する共同宣言」が採択されている。
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