ホワイトカラーを中心とした民間職業紹介の事業者団体である
日本人材紹介事業協会(渡部昭彦会長)は29日、東京・竹芝で2016年東日本地区ブロック会と新年賀詞交歓会を開いた=写真。この数年は育児・介護休業法や労働基準法、職業安定法などをはじめとする労働関連法の改正が相次ぐとみられ、昨年9月30日施行の改正労働者派遣法(平成27年改正)を含め、人材ビジネス業界も新時代に対応できるかどうか、業界組織のあり方が問われる1年になりそうだ。まず、佐藤建次郎専務理事が人材協の活動報告を行い、昨年5月にスタートした「人材協のあり方検討会」はこれまで延べ4回の会合を重ね、3月までに取りまとめ、5月の総会に報告する予定。これについて、渡部会長は「人材協の立ち位置をどうするか検討しているが、基本的には我々と意識を共有する仲間を増やして組織を拡大する方向を念頭に置きたい。もちろん、単なる拡大という安易なものではなく将来展望を持って臨みたい」と述べた。
職業紹介事業については、事業のあり方をめぐって政府の規制改革会議や厚生労働省の有識者会議「雇用仲介事業の在り方に関する検討会」などで精力的な議論が展開されており、人材紹介会社もこれまでのビジネスモデルでは対応し切れない可能性も高まっている。また、人材協が参加している人材サービス産業協議会(JHR、中村恒一理事長)でも昨年10月から「JHRのあり方を考える委員会」を設置して、2月下旬に報告書を取りまとめて3月の理事会に答申案として諮る予定だ。
この日は、厚労省職業安定局の河村のり子・民間人材サービス推進室長が「これからの日本と民間職業紹介事業の将来を考える」と題して講演。少子高齢化の進展で労働力人口が本格的に減少するが、それを緩和するには女性と高齢者の就業環境の柔軟な整備が必要なこと。産業では医療・介護業界が着実に伸びること。求人と求職のマッチングはITの活用が飛躍的に進んでいること――などを挙げた。
そのうえで、河村室長は個人的見解と断りながらも、業界の今後の発展は単なるマッチングではなく、「求人条件を(より良く)変える役割を担うなど、 “進化したコンサルティング”が不可欠になるだろう」と予測した。
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