製造請負・派遣の業界団体、日本生産技能労務協会(清水竜一会長)は20日、都内で2016年新春講演会を開き=写真=、会員企業など全国各地から200人余が参加した。厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課の手倉森一郎企画官が「改正労働者派遣法について」と題して基調講演し、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎主席統括研究員が「人材ビジネス産業の課題と今後の方向」と題して講演した。
手倉森氏は、昨年9月末に施行された改正労働者派遣法の主要ポイントを解説したうえで、「行政としても施行状況を業界数社からヒアリングするなどのフォローをしている。悪質な事案に対しては厳しく対処していく方針だ。技能協をはじめとするみなさまには、法の順守だけでなく、既に着手している企業もありますが、法の水準を上回る、あるいは先取りするような取り組みをお願いしたい」と期待感をにじませた。
濱口氏は、人材ビジネス産業の歴史と法制度について、主に戦後の流れを概観した後、派遣制度がいびつな制度となって発足した経過を説明。そのため、改正のたびに一部マスコミや政治勢力の攻撃のターゲットになってきたものの、「きちんと説明のつかない部分が残されているとは言え、今回の改正でようやく抜本改正に動いた点は評価できる」との見解を述べた。
さらに、派遣労働者の処遇改善のため、正社員が中心の既存労働組合ではなく、人材ビジネス業界による「集団的労使関係」のシステム化という、一歩先ゆく視点も提言した。
講演会後の懇親会で、清水会長は「派遣労働者のキャリアアップ支援など、今年は改正派遣法が本格始動する年であり、業界にとって真価を問われる年になる。我々も、改正内容を義務としてではなく、人材サービス会社の差別化を図る好機ととらえて、日本のものづくりのレベルアップに向けて努力していこう」とあいさつ。協会として、具体的なノウハウを盛り込んだ冊子の編集・出版など、会員企業に役立つ手立てを着々と打っていることも紹介した。