日本CHO協会などが主催するオープンセミナー「働き方革新~テレワークの活用による事業競争力向上のステップ」が5日、東京・大手町のパソナ本社で開かれた。11月が政府の「テレワーク月間」で、女性活躍の有力手法の一つとして注目されていることから、会場には100人を超える企業の担当者が集まった=写真。
講師と講演テーマは、中山洋之・日本テレワーク協会専務理事「テレワークが社会、企業、個人にもたらす効果とは?」▽小林千恵・日産自動車ダイバーシティディベロップメントオフィス室長「ダイバーシティ推進とワークライフマネジメント向上の取り組み」▽織田浩義・日本マイクロソフト執行役常務「日本マイクロソフトのテレワークの取り組み」。
小林氏は、日産のテレワークはダイバーシティー(多様性)の一環として、2006年から育児・介護の必要な一部社員を対象に在宅勤務制度を始めたのがスタート。10年からは工場勤務以外の社員を対象に月1回のテレワークに拡大し、14年からは全社員を対象に月5回に大幅拡大した結果、社員の約25%が活用したと報告。その結果、活用した社員の3割以上が「業務アウトプットが向上した」と回答したという。
織田氏によると、マイクロソフトの場合は10年の本社移転と同時にテレワークを導入。11年から3年間は自社で、14年からは「テレワーク週間」を設けて賛同企業32社と実施したところ、今年は651社に急拡大した。さらに、今年は派遣社員にも加わってもらい、6社57人が参加したところ、「時間の有効活用などに効果があった」と答えたという。
しかし、両社のような取り組みはまだ一般化しておらず、総務省の調査(13年)でも、テレワークの導入済み・導入検討企業の割合は12%程度に過ぎず、「テレワークに適した仕事がない」などの理由で、多くの企業が導入に及び腰だ。日本CHO協会の調査でも、「セキュリティの確保」「利用者の労務管理」などがネックとなって、54%の企業が実施していない。