今年最後となる2015年の第4回派遣・請負問題勉強会「雇用問題フォーラム」(NPO法人人材派遣・請負会社のためのサポートセンター主催、アドバンスニュース協賛)が13日、「雇用改革の議論の行方とこれからの雇用社会」をテーマに東京・両国のホテルで開かれた。
この日は、ニッチモ社長の海老原嗣生氏が「雇用改革議論の問題と目指すべき方向~欧米の現状から見る問題点とあるべき姿」、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎主席統括研究員が「日本型雇用と女子の運命」、東大社会科学研究所の水町勇一郎教授が「世界の労働法改革の方向性と日本の課題」と題してそれぞれ講演した。
海老原氏=写真左=は、賃金を中心に欧米と日本の雇用構造の違いを説明し、日本も雇用改革が必要と強調。入社から35歳前後までを従来の正社員(全員競争型)と同じ待遇を与え、その後は欧米流のエリート型と非エリート型に分化する「接ぎ木」方式を提案した。
濱口氏=写真右=は、日本の女性が活躍できない原因を日本企業の「メンバーシップ型」構造に求め、今後は男性正社員の「ノーマルトラック」型から、女性復帰社員の「マミートラック」型を主流に据えることが、日本型男女平等の“ねじれ”を解消するカギになると提言した。
水町氏=写真左=
は、現在進んでいる世界的な労働法制の変化を解説したうえで、日本の改革のカギとして(1)インセンティブのシステム化(2)法的な画一的基準でなく、当事者の「内省」に基づく取り組み(3)個別法の枠組みを超えた総合的なアプローチ――の3点を挙げた。その後、法政大学キャリアデザイン学部の坂爪洋美教授をコーディネーターに、3氏のパネルディスカッションが行われ、雇用に関する多様な課題について各氏とも持論を熱く訴えた=写真右。
【関連記事】
雇用問題に精通する論客3氏による講演とディスカッション
10月13日、サポートセンター主催「雇用問題フォーラム」 (8月31日)