規制のかけ方を抜本的に見直す政府提出の労働者派遣法改正案について政府・与党は、8日の参院厚生労働委員会で施行日を「9月30日」に繰り下げるなどの修正案を採決して可決させる方針。翌9日に参院本会議で可決した後、法案修正に伴う対応として衆院に回付。同本会議で可決・成立となる運びだ。あまりの迷走ぶりに、派遣法が「政治法」と揶揄される“悪しき流れ”は、残念ながら今回も存分に発揮される格好となった。
特に、この3日間は終盤国会ならではの激しい与野党攻防が続くと見られる。場合によっては、与野党の現場の責任者レベルで交わしてきた国会運営上の約束事を反故にした、いわゆる国対マターの判断が優先される展開も想定される。
派遣法改正案は衆院で5月12日に審議入りし、日本年金機構の個人情報流出問題の集中質疑を断続的に挟みながら、衆参合わせて約4カ月間にわたって政府との質疑や参考人招致、地方公聴会などを積み重ねてきた。法律制定から30年となる大きな節目に、強い事業者規制と労働者保護を打ち出した抜本改正の法律が誕生する模様だ。
国会運営上に支障をきたす大きな突発的事象が起きない限り、9月30日の施行を目指して、週明けには政省令などを決める労働政策審議会が動き出す見通し。日程的な観点から、開催日数や時間の長さよりも、事務的なものを除いた核となるテーマにおける密度の濃い公労使の議論、協議が必須となる。
8日以降の展開においては、施行日以外の修正部分や付帯決議の有無などを含め、施行までの動きを慎重に注視していく必要がある。そして、10月1日には派遣法の「労働契約申し込みみなし規定」が発動される。
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