参院厚生労働委員会は20日午後、午前中の参考人質疑に続き、規制のあり方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案について、政府と委員が質疑を交わした。質疑には野党のみ7委員が立った。改正法案の中にある曖昧(あいまい)な部分を的確に突く参院ならではの質問がある一方、これまでの繰り返しを越えない内容や、原点となる統計や派遣社員アンケートのデータ確認も少なくなく、与野党対決法案でありながら本格質疑が「政府案VS野党案」となっていないための「質疑の深まりの限界」も感じさせた。
参院での質疑は、20日までで約20時間(本会議質疑、地方公聴会、参考人質疑を除く)に達している。複数の委員は、持ち時間の冒頭か最終に審議案件以外の質問を入れ込みつつも、質問の締めくくりには「(派遣法改正案に)まだまだ質問がある。来週、再来週、ずっと審議しましょう」と政府・与党の今後の採決をけん制する場面が目立った。どの段階でも「審議は十分でなく強行採決だ」と攻撃する布石とも映る。
野党側が指定した重要広範議案でありながら、野党の議員立法とぶつけ合う「対案対決」となっていないこともあって、審議後半に突入しているこの日は、特に挑発的な言葉と声を張った気迫のポーズが際立った。昨秋の臨時国会や今国会の衆院での審議でしばしば見られた、的外れな政府答弁は減ってきただけに、改正法案に絞った質の高い充実した審議が期待される。
この日、質疑に立ったのは、民主の津田弥太郎委員、石橋通宏委員、維新の川田龍平委員、共産の辰巳孝太郎委員、元気の行田邦子委員、無所属クラブの薬師寺みちよ委員、社民の福島みずほ委員――の7委員。主に、派遣元事業者に義務化される「雇用安定措置の具体的な解釈」、「派遣元による無期雇用が有益か無益か」、「常用代替防止の原則の維持の確認」、「事業所(派遣先)による過半数労働組合等の意見聴取の実例ケース」――などを取り上げ、質疑を繰り広げた。
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