参院厚生労働委員会は18日、労働者派遣法改正案に関連し、衆院で可決した自民・公明・維新の修正による同一労働・同一賃金法案を中心に質疑。与野党ともに、法案の理念と修正部分の意図を中心に法案提出者と議論を深めた。あす19日は、同委員会の定例開催日ではないが、午後1時から同法案に関する参考人招致を実施する方針だ。
同法案は議員立法で、派遣法改正案を補完する格好の位置付け。正規と非正規の賃金を含む差を埋める「理念法」的な要素が強いものの、(1)職能給を主体としている日本の雇用慣行のあり方、(2)正規と非正規と呼ばれる働き方とその賃金差の圧縮への考え方、(3)「同一労働と同一価値労働」の違い――など、今後の日本の多様な働き方の環境整備の観点で一定の重みを成す。
当初、野党の維新、民主、生活の3党が5月26日に提出(原案)したが、維新と与党の自公の3党で6月19日に修正法案を提出し、賛成多数で衆院厚労委と本会議で可決している。これに伴い、法案提出者として維新の井坂信彦と浦野靖人、自民の高鳥修一、公明の古屋範子の4衆院議員が答弁席についた。
委員の質問は、派遣労働者の表記がある「第6条2項」の修正部分に集中。
原案は「政府は、派遣労働者の置かれている状況に鑑み、派遣労働者について、派遣元事業主及び派遣先に対し派遣労働者の待遇についての規制等の措置を講ずることにより、派遣先に雇用される労働者との間においてその職務に応じた待遇の均等の実現を図るものとし、このために必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内に講ずるものとする」となっており、修正案は「政府は、派遣労働者の置かれている状況に鑑み、派遣労働者について、派遣元事業主及び派遣先に対し、派遣労働者の賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇についての規制等の措置を講ずることにより、派遣先に雇用される労働者との間においてその業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図るものとし、この法律の施行後、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずるとともに、当該措置の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとする」と、加筆されている。
上記の太線部について、与党委員は法案提出者から「現実性と実効性」に関する答弁を引き出し、野党委員は「修正によって当初の狙いが薄れた」と指摘する意見が相次いだ。また、維新の寺田典城委員が、提出者と同じ政党ながらも原案から趣旨が変わってしまっていると強く批判し、「(この法案の)採決は参院の良識として見送るべきだ」と発言する場面があった。
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