参院厚生労働委員会は30日、規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案について審議した。約6時間にわたる審議全体を通してみると、本格審議に向けた「入り口論」や法律制定(1985年)当時からの経過、統計資料などの「前提確認」に終始する質疑が目立った。8月6日には名古屋市で地方公聴会(参考人招致)が行われる。
“政治法”と揶揄(やゆ)される派遣法は、民主政権時代を含めて難しい国会運営を強いられてきた経緯がある。民主政権時の2010年6月に、衆院厚労委で政府提出法案(登録型、製造業務、日雇いの3つの原則禁止など)の審議を1日のみで採決・可決に持ち込もうとした事実に比べれば、慎重な委員会運営が展開されている(結果的には、当時の鳩山由紀夫首相が当日の早朝に別案件の責任をとって辞任したため、委員会は流会)。
30日の参院厚労委で質問に立ったのは、与党から自民の石井みどり委員、滝沢求委員、公明の長沢広明委員、野党から民主の津田弥太郎委員、石橋通宏委員、維新の川田龍平委員、共産の小池晃委員、元気の行田邦子委員、無所属クラブの薬師寺みちよ委員、社民の福島みずほ委員――の10人。
提出法案に記されている「9月1日」を「9月30日」に繰り下げる修正の言質を求める質問が相次いだが、塩崎恭久厚労相は「(日程的に)厳しいのは承知だが、提出法案通りで速やかな審議をお願いしたい」と繰り返すにとどめた。このほか、雇用安定措置や派遣社員に対する教育訓練(キャリアアップ)の義務化、事業者の許可制一本化など、派遣元会社の責任を格段に重くした事業規制強化の側面については、その評価や実効性に関する踏み込みが足りず、次回以降に持ち越される格好となった。
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