高度プロフェッショナル制度の創設などを盛り込んだ労働基準法改正案について、政府・与党は今国会での成立を見送る考えを固めた。厚生労働関係の政府提出法案は、今国会で全9本となっているが、26日現在、延長国会に入った段階で成立は3本、衆参いずれかの可決が2本、審議入りが1本、未着手が3本という中盤総括となる。与野党対決法案のひとつである労基法改正案は、9本中8番目に位置付けられており、4番目の労働者派遣法改正案の成立も想定より大幅に遅れていることなどから、総合的に判断したと見られる。
労基法改正案は、労働組合の連合を有力な支持母体とする民主などが真っ向反対の姿勢を示しているほか、使用者側の各経済団体も改正内容全体に“全面賛成”できない部分があり、継続審議とするか、いったん廃案として修正して次期国会に出し直すかは、会期末までに政府・与党が慎重に見極める方針だ。
労基法改正案は、来年4月施行を目指し、(1)労働時間でなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度(高度プロ制度)」を創設、(2)フレックスタイム制の清算期間を現在の1カ月から3カ月に延長、(3)裁量労働制の対象となる企画業務型に、法人向けの課題解決型提案営業などを加える、(4)年次有給休暇が10日以上ある労働者の場合、5日は企業側が時季指定、(5)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の廃止――などが盛り込まれている。(5)のみ施行は2019年度の予定。同改正案については、国会提出(4月3日)の段階から「審議入り」も危ぶまれていた。
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