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2015年6月30日

派遣法改正案、参院審議入りめぐり「政治的日程闘争」で足踏み  施行予定2カ月前、問われる与野党の現場感覚

 1カ月を超える審議の末、6月19日に衆院を通過した労働者派遣法改正案だが、参院の審議入りが与野党の政治的な思惑や駆け引きによって足踏み状態が続いている。成立後に詰める政省令などを出来るだけ早く整え、現場の混乱を最小限にとどめて施行(9月1日予定)に結びつけることが一般論として急務だが、30日時点において「早くて7月8日前後の審議入り」という状況となっている。

 派遣法案と関係のない問題や政党間の闘争に翻弄され続け、これまでも“政治法”と揶揄(やゆ)されてきた派遣法。今回もまた、現行法で規定されている「労働契約申し込みみなし制度」(10月1日施行)などもにらみながら、相応の考え方を持って強硬に反対している政党は、当然ながら参院での廃案を目指すと同時に、議席数の関係から「成立やむなし」なのであれば、施行までの期間が短か過ぎて準備不足で混乱が生じた場合に、法案に賛成の与党の自公や次世代の責任だとして「第2ラウンドの政党対決」も視野に入れている模様だ。

 「働く現場」を最優先に考えるのであれば、成立または廃案のどちらに展開しようとも、速やかに衆院とは違う参院ならではの深みのある審議が期待されるものの、国会全体の動きの中で与野党は「政治的日程闘争」に奔走中だ。政府・与党は「会期末をにらみながら、(政府)提出法案の優先順位の練り直しや、見送る法案の選択と調整の真っ最中」(与党国対幹部)という。

施行はいつ? 局面を迎えた3つの選択肢

 施行予定日の9月1日まで2カ月を切っている。概ね「成立」は動かない状況にあるにしても、予定通りの施行か、「9月中」の施行か、または、改正法案と10月1日施行(平成24年改正法・現行法)に盛り込まれている「労働契約申し込みみなし制度」とセットで「3カ月から半年」の繰り下げとなるのか、重要な局面を迎えている。

 会期の大幅延長決定以降、国会特有の「水面下の国対戦術・与野党の暗闘」の様相がさらに色濃くなっている。「与野党を問わず、国会議員がどのような現場感覚を持ち、第一義に働く人たち、そして適正な事業者、受け入れ企業といった派遣法改正案の“主人公”たちの方をきちんと向いて仕事をしているのか問われている」(質疑にも立った衆院厚労委の中堅委員)。当事者や関係者だけでなく、「大きな声」で賛成・反対の活動や運動といった行動を得意としない多くの国民が、その動向と成り行きを注視している。

 

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