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2015年6月19日

派遣法改正案、約7割の賛成で衆院本会議通過  参院で本格論戦開始へ

 規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案と、与党と維新による「同一労働・同一賃金法案」(修正案)が19日、衆院厚生労働委員会と衆院本会議を賛成多数(いずれも約7割の賛成)で可決・通過した。両法案はただちに参院に送られ、参院を舞台にした本格論戦がスタートする。派遣法改正案には野党の次世代なども賛成に回った。

 派遣の受け入れ企業(派遣先)の事実上の期間延長が可能になることのみに焦点をあてた指摘が目立つが、派遣事業者が大幅に淘汰(とうた)、収れんされることが必至な事業規制が多く盛り込まれている。例えば、届け出制が認められていた特定派遣事業者を廃止してすべてを許可制の一般派遣事業者に一本化する。

 また、派遣社員に対する雇用安定措置やキャリアアップの義務化を事業継続の「許可要件」とする点、または「生涯ハケン」という指摘や実態を回避するために期間制限のなかった政令26業務を廃止して派遣社員が立場や環境などに合った多様な働き方の選択が出来るようにする――ことなどが明記されている。

 端的に言えば、従来までの「規制の強化か緩和か」といったステレオタイプの色分けを越えた内容で、派遣社員を第一義に良質な事業者の育成や派遣先の責任も格上げすることが根幹にある。有期のみならず、派遣元による無期雇用化への誘導の施策も強くにじんでいる。

 参院では今後、本会議での各党代表質問を踏まえ、参院厚労委で主に定例日の火曜日と木曜日を中心に審議が行われる。

 

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