厚生労働省は15日、「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に関する調査結果を発表した。労働政策研究・研修機構(JILPT)に依頼し、同機構が国内の紛争解決の実態や海外9カ国の事例など、広範囲に調査したもの。
そのうち、解雇などの「労働局のあっせん、労働審判、裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析」によると、トラブルの9割以上を会社側が金銭解決で済ませていることがわかった。金銭解決の比率はあっせんが96.6%、労働審判が96.0%、和解が90.2%と圧倒的大部分を占めている。
解決金額はかなりバラつきがあるが、中央値で見るとあっせんは約15万6400円、労働審判は110万円、和解は約231万円となっている。
調査対象は、あっせんが851件(2012年度)、労働審判が452件(13年)、裁判が193件(同)のサンプル。
同調査は政府の「日本再興戦略改訂2014」で、予見可能性の高い紛争解決システムの構築を図るため、労働紛争解決手段として活用されているあっせんなどの事例分析・整理と、諸外国の関係制度・運用に関する調査研究を行うよう定めたことを踏まえ、実施した。
解雇紛争などの金銭解決については、規制改革会議や労働政策審議会で議論されているが、労働組合側が「労働者の切り捨てにつながる」として導入に反対しており、制度化のメドは立っていない。しかし、現実には金銭解決が広く浸透していることが改めて実証されたことになり、今後の議論に大きく影響しそうだ。
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